なぜ「かけ算・わり算」を先にするのか?

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上位校突破塾ブルー教室長の井上です。

算数における素朴な疑問「なぜ、かけ算・わり算が先なのか?」。小学生がこの本質が理解できずに迷走する様子を何度か目撃しました。そこをなんとかするための解説をまとめてみました。聞かれて返答に困った際もぜひ活用してみてください。

基本的なルール:演算の優先順位

掛け算や割り算を先に計算する理由について、分かりやすく説明しましょう。

まず、数学では「演算の優先順位」というルールがあります。このルールは数式を一意に解釈できるようにするための大切な約束事です。ただ「ルールだから」の一点張りでは理解できないので詳しく見ていきましょう。

例えば「2 + 3 × 4」という式を考えてみましょう:

  1. もし順番に左から計算すると:
    • 2 + 3 = 5
    • 5 × 4 = 20
  2. 掛け算を先に計算すると:
    • 3 × 4 = 12
    • 2 + 12 = 14

このように、計算順序によって答えが変わってしまいます。数学では世界中どこでも同じ答えが得られるように、以下のような順序を決めています:

  1. カッコの中を最初に計算
  2. 掛け算・割り算を計算
  3. 足し算・引き算を計算

この順序には数学的な理由もあります。掛け算は同じ数の足し算の繰り返し(例:3 × 4 は 3 + 3 + 3 + 3)であり、より基本的な演算と言えます。そのため、掛け算や割り算を先に処理することで、式の構造をより自然に表現できます。

このルールを覚えておくと、複雑な計算でも迷わずに正しい答えを導くことができます。

単位から見る計算順序の意味

単位を使うと掛け算・割り算を先にする理由がより分かりやすくなります。

例えば、「リンゴ2個分(1個150円)の値段と、オレンジ3個分(1個120円)の合計はいくら?」という問題を考えてみましょう。 式にすると:「 2 × 150 + 3 × 120」単位を付けると「 2個 × 150円 + 3個 × 120円」となります。

ここで単位に注目すると:

  • リンゴやオレンジは「個」という単位
  • 求めたい結果は合計金額の「円」
  • それぞれの金額を先に計算することで「2個×150円/個=300円」「3個×120円/個=360円」という結果でそれぞれ「円」という単位になる

このように、掛け算や割り算を先にすることで、単位を正しく計算できます。

他の例:

  • 時速60kmで2時間走った距離:60 km/h × 2 h = 120 km
    • km/h(1時間あたりの距離)と時間をかけることで距離が出る
  • 1mあたり2kgの重さの鉄の棒が3mある時の重さ:2 kg/m × 3 m = 6 kg
    • kg/m(1メートルあたりの重さ)と長さをかけることで全体の重さが出る

実は、単位の計算でも掛け算・割り算を先にする理由は同じです:

  1. 掛け算・割り算で新しい単位(km/hからkmへ、kg/mからkgへ)を作る
  2. その後で同じ単位同士を足し算・引き算する

このように、単位の観点からも掛け算・割り算を先に計算することには明確な理由があるのです。

さらに、科学の分野でも同じ原理が適用されます:

  • 力(N)= 質量(kg) × 加速度(m/s²)
  • 電力(W)= 電圧(V) × 電流(A)

これらの公式でも、掛け算によって新しい単位が生まれ、物理量を正確に表現できるようになります。

この考え方を理解しておくと、日常生活での計算から科学的な計算まで、幅広い場面で役立ちます。

まとめ

「なぜ掛け算・割り算を先にするのか」という疑問は、多くの人が算数を学ぶ過程で抱く素朴な疑問です。実は、この「なぜ?」という気持ちこそが、数学的な考え方の出発点となります。

単に「ルールだから」と覚えるのではなく、単位の考え方と結びつけることで、より深い理解につながります。この理解は、買い物での計算から、理科の実験、さらには将来の専門的な学習まで、様々な場面で活きてきます。

また、この「理由を考える」という姿勢は、数学に限らず、あらゆる学びにおいて大切です。「なぜそうなるのか」を考えることで、表面的な暗記から本質的な理解へと進むことができます。

みなさんも、日常生活の中で計算をする機会があれば、ぜひ単位の視点から考えてみてください。そうすることで、数学がより身近で実用的なものに感じられるはずです。

数学は決して暗記科目ではありません。考える楽しさ、発見する喜びに満ちた学問なのです。この説明が、そんな数学の魅力を感じるきっかけになれば幸いです。

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